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「グレン様は決闘で圧倒的な実力を学園中の者に示しましたし、御三方にも一目置かれてますし、彼らが交流を持つようになったきっかけともいえますから。そういう評価になるのは妥当なことかと」
そういうものなの?
俺としては筋トレ布教にラルキエリが賛同して乗っかってきて、ルドルフが面白半分に手伝ってきて、ラッセルが仲間を連れて参加してきて。
いつの間にか周囲がワイワイしてきたなぁ……程度の感覚だったんだけど。
それが派閥扱いになるのか。人間の価値観はようわからんです。
「じゃあ、俺の今までの行動って無駄じゃなかったということでいいのか?」
「そうですね、学園での地位や人脈を形成するための下準備をしていたとするなら、現状のグレン様は無事基盤作りに成功したと言えるでしょう」「そ、そうなのか……!」
メイドさんに言われ、俺は少しずつポジティブな気持ちを取り戻してきた。
そういうふうに言われるとなんかそんな気がしてきたぞ。
ざわついていた心が嘘のように穏やかになってくる。
まるで心の回復魔法だ!
これがプロフェッショナルメイドの力……!
「最後に確認するけど、俺は何も成果を得てないわけじゃないんだな?」
「はい」
「進捗ゼロではない?」
「ないと思います」
「そうか……」
「物は言いようですけどね……」(ボソッ)
「…………」
最後にメイドさんの本音的なものが小さく聞こえた気もしたがポジティブになった俺はもう気にしない。
考えてみれば学園の生徒や教師と交流なしに有益な情報など得られるはずがなかったのだ。
これまでの行動は人間関係の構築に必要なことだったのだ!
俺は無意味に遊んでいたわけじゃなかったんだ! ……と、思っておくことにした。
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