子爵家と民族競技

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◇◇◇◇◇ 「ではこれを」  審判を務める騎士から銀色の粉を手渡された。  なにこれ? これを互いにドヒョウに撒くの? それが正しい手順?  つか、銀色の粉ってなんかあったような……。  まあ、とりあえず。 ファサァ……。  俺と巨漢の騎士ドルジィ君はドヒョウに粉を撒いた。  そして互いに構えて正面を見て向き合って。 『ハッケヨイッ!』 「フンガアアアアアアアアアアァァアァアァァァァ――ッ!」  審判の合図と共に、ドルジィ君はその巨漢からは考えられないスピードで俺に突撃してきた。 ◇◇◇◇◇  対戦相手を務めたニゴー子爵家随一の巨躯を誇るドルジィは、グレンとぶつかりあった瞬間の出来事を思い返し、のちにこう語る。 『まるで城塞ですわ』 『手強いとか、そういう次元じゃないっスよ』 『巨大な鉄の塊がドンッって置かれてて、それを相手にしてるみたいな? そういう虚無感みたいなもんがあったっス』 『もうアレっスね』 『あの人の背後に大きな馬車みたいな乗り物があったような気がしたっスもん』 ――と。 ◇◇◇◇◇
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