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御令嬢や騎士の一行と別れて一時間ちょっと。
時速九十キロで駆け抜けた俺はニッサンの町に到着した。
やはり馬車でちんたら走るより全然早かったな。
「……ん? おおっ?」
町に着いた途端、俺は急激な空腹感に襲われて地面に膝を着いてしまった。
……まさか、これは燃料切れか!?
久しく味わっていなかった感覚に俺は戸惑いを覚える。
腹の音がグルルと鳴り響き、脳裏に浮かぶは【empty】の文字。
どうやらこの体においては摂取したカロリーが軽油と同等の扱いになるようだ。
仕組みは不明だが、状態が確認できるのはありがたい。
何も表示がされなかったら何事かと軽く混乱していたところだった。
あの女神様はいい仕事をしてくれる。
だが、おかしい点がひとつあった。
俺は一時間ちょっとで走れなくなるような燃費の悪さではなかったはずだ。
うーん……?
そこで思ったのはエルフの料理は低カロリーなものが多かったということ。
里で食っていたものは野菜に木の実、川魚が主だった。
肉は脂の少ない箇所をあっさりした味付けで稀にしか食していない。
出立前に食べてきたのも果物とパンだけだったし。
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