831人が本棚に入れています
本棚に追加
/373ページ
それから渋い顔をしてやってきた年配の職員によって俺のギルド登録手続きは滞りなく行われた。
ただし職員の対応は終始素っ気ないものだった。まるで厄介者はもう来るなと言わんばかりの塩対応であった。
俺は厄介な連中に目をつけられた厄介者の同類と見做されたようだった。
「…………!」
他の冒険者と視線が合うと素早く顔を背けられる。ルドルフたちの睨みが効いているらしかった。
どいつもこいつもチンピラ風情にビクビクしすぎではないか? くすんだ金髪の一味はそんなにやばい連中なのか?
見る限りでは俺を捕えようとしてきた使い走りの輩どもとどっこいどっこいの小物臭しかしないのだが。
いや、人間社会ではこういう何をしでかすかわからない小物中の小物みたいな連中こそが一番恐ろしいものなのかもしれない。
「…………」
どうにも居づらい雰囲気が漂っていた。
居たたまれなくなった俺はそそくさとギルドの建物内から退散することにした。
ロクでもない連中に絡まれたおかげで良き出会いもクソもあったもんじゃない。
金輪際、胡散臭いと直感で感じたやつとは取り合わないようにしよう。
俺は心が荒んで嫌な方向に自分が一歩逞しくなったのを感じた。
最初のコメントを投稿しよう!