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幼馴染みと再会
「そんじゃ、行くとしますか!」
太陽も登り切っていないような早朝。
俺は幼馴染みのシルフィを迎えに行くためエルフ里に出立しようとしていた。
エルフ里から森の外まで、普通のエルフなら歩いて半日以上はかかる。
今から出ればシルフィが森を出る前には余裕で待ち構えていることができるはず。
そう、トラックの力を持つ俺ならね!
「あのう、グレン様。本当にわたくしどもを乗せていくのですか?」
レグル嬢が遠慮がちに、というか半信半疑な感じで訊ねてきた。
今日、俺は一人で行くわけではない。
レグル嬢、エヴァンジェリン、デリック君、ジンジャーも一緒に連れて行く。
俺がシルフィを迎えに行くため一時的に学園を離れたいとディオス氏に相談したら、この機会にエルフ側とも話し合って対策を練りたいと言ってきたのだ。
ジンジャーは俺より早く旅に出ているため、一年は里に帰れない魔法の効果がすでになくなっているから里までの連絡係。
レグル嬢はエルフの大人たちに事情を説明する人間側の使者として。
エヴァンジェリンとデリック君はレグル嬢の護衛役である。
「俺がしっかりと目的地まで配送してやりますよ!」
俺の背後には華美な装飾こそないが、質のいいしっかりした造りの馬車があった。
だが、ここに馬はいない。馬の位置には俺がいる。
エルフ里のある森までは俺が馬車を引っ張って彼女たちを連れていくのだ。
本当なら背中(シート)に乗せていきたいところだが……。
今の俺は運転手のみが座れる定員一名の人型ボディ。
頑張れば二人くらいはいけるかもしれないけど、四人はさすがに難しいものがある。
そもそも四人とか前世の姿でも座席数の関係で不可能だし。
なので、今回は馬車を借りてコンテナの積み荷感覚で全員を運ぼうというわけ。
ふむ……。
皆、自分たちを乗せた馬車を俺が引っ張れるのか心配してるな。
見てろよ、元の世界で物流を支えていたトラックの本領を発揮してやるぜ!
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