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昨日は三年半ぶりの日本だというのに、実家に顔を出す暇もない。本社の重要な会議に出席し、支店の状況を部長と説明して、とんぼ返りで現地の企業に提出するプレゼンの用意をしなければならない。
まさに社畜、本社に泊まりこんで仕事、仕事、仕事。コンビニ弁当でメシを食い、椅子にもたれかけながら数時間、仮眠をとるだけというハードスケジュールだ。
企業戦士と言えば聞こえはいいが、あきらかにトップが人件費の削りすぎで、ブラック企業になってんだから泣けてくる。
いわば社畜だ。
そんな俺だが、本社にいる同期の情報よると、この辛い役目も、あと一年でお役御免になり、めでたく本社の営業部に戻れるという。
まあ、そこからすぐに日本の支店を転々とさせられるか、それとも今度はアフリカか中東の危険な地域に勤務させられるか? 神のみぞ知るだ。
今年で二十六歳になる俺に、おふくろは「早く結婚しろ!」などというが、こんな転勤ばかりの生活じゃ夢のまた夢。すぐ嫁さんに愛想つかされるのがオチだ。
友達は「結果を出せば、出世コースに戻れるチャンスはある」と励ましてくれるが、最近では担当している国が『某国と戦争するんじゃないか』と、囁かれて、どんどん雲行きが怪しくなっていく。
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