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僕は人間じゃない。
人間になりたい。
僕はなぜこんな姿になってしまったんだ...。
いつも通りの朝、兄貴が作ってくれた朝ごはんを食べ、弁当を持って学校に向かった。
通りにでると、夜中に家を出たのかと思うほど人がいなかった。ふと時計を見てもいつも通りの時間だったが、学校に遅刻しそうだったので頭の隅に追いやり、足を進めた。
少し歩いたところで正面の方向から声が聞こえた。
「お兄さん、少しいいかい?」
声の方向にスーツ姿の男性が立っていた。
「...僕ですか?」
問いかけたが周りには僕しかいなかった。
「そうそう。君に用があるんだ。君は嶄(さん)って名前であっているかい?」
「...おじさん、なんで僕の名前を知ってるの?」
「おじ、おほん。私はまだ20代だ。それと名前がある。」
「そうなんですか。学校があるのですみません。」
歩き出したにもかかわらず口を開き話し始めた。
「私はクロロ・アルレイト。」
彼は自分の名を名乗り、こう続けた。
「〝君と同じだ。″」
「僕と、同じ...?」
進む足を止め、彼の言葉の意味に首を傾げた。
「においでわからんか?狼族よ。」
「!?」
狼族という言葉を聞いた途端、嶄の体がはねた。
やはりここまで言わないと気づかないか。私たちの世界に彼を入るのは危ういだろう。
「おおや?やっと気が付いたかい?私も狼族なのだよ。」
でもなぜこうも敵意剥きだしなのだ。驚きより怒りが優先される理由はなんだ。
「お前が...」
「全く、、何回云えばわかるのですか、私の名前はク..」
クロロが淡々と話してる最中、彼の左側で切り裂く音と共にに突風が吹いた。
「…危ないなぁ、突然襲って来るなんて。でもまだまだですね。」
クロロは後方を向いた。スーツの左袖には鋭い刃で切られたように裂かれていた。
刃の正体は嶄の右腕だった。獣の足のように変化した右手の爪にはスーツの切れ端が刺さっていた。
いつの間にかにクロロの背後にいた嶄はクロロの淡々とした口調にさらに怒りを覚え、振り向きざまに叫んだ。
「お前は何者だ!!」
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