北極星も眠る夜に

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「見つけたぞ、シアン」 カンテラを掲げた大人が言った。 強い光で目を焼かれたが、シルエットでそれが警備団のウーチーだと分かる。 その隣にいるのは、レパードか。 それとレイジーンのヤツらが何人か。 ふう、とオレは息を吐く。 穴の上にあったスコップをとりあげる。 銃を手にしたレパードが、こちらへと踏み出した。 だがオレは、そちらには背を向けて、スコップを思い切り振りかぶる。 「おやすみ」 そう言ってから、シンの顔めがけてスコップの先を叩きつけた。 エッジの部分が当たるように握りを調節し二度、三度。 二度目に振り下ろした時すでに、頭蓋を割る手応えがあった。 穴の底まで光が届いていないのが幸いだ。 手を止めず、何度も何度も振り下ろす。 「お前、なにしてやがる」 ウーチーが野太い叫び声をあげた。 レイジーンのヤツらが穴に殺到する。 それから銃声。
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