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時はさかのぼってSHR前
「山さん、俺校長のとこ行ってくっから。」
「えぇ!?」
と言って神崎が校長のところへ向かった後の話である。
「ふぅ…ぅし。」
神崎は身なりをそれなりに整え、コンコンとノックをした。
「…なんじゃ、トイレなら入っとるぞ。」
しゃがれた声で、しかしおちょくるような声が校長室から聞こえてきた。
_____…んのクソジジィ…。
神崎はそう思いつつ、今度は3回扉を叩いた。
「良いぞ、入れ。」
「失礼します。」
校長室には、真っ白な髪の毛と髭を蓄えた、亀の甲より年の功と言ったような老人が座っていた。間違いなく校長なのだが。
「おお、神崎先生。いかがなさった?とりあえず座んなさんな、お茶お茶…あ、お茶菓子はどうするかね?」
「あ、結構です、あまりお時間も頂けませんので。」
さすが校長と言ったところか、神崎が遠慮している。
「そうか…残念じゃな。」
「申し訳ありません。…本題なのですが。」
「遠慮なく言いなさんな。」
「………武藤、のことなのですが。」
神崎が彼の名前を出した途端、校長の目尻が吊り上がった。
「武藤樹、と言ったな…彼がどうしたのじゃ。」
「今朝、私が彼と一緒に学校まで来たのはご存知でしょうか。」
すると意外なことに、校長の表情は、パアッと明るく変わった。
「…校長先生?」
「そうかそうか…そんなことが…。」
「…あの、何か…?」
神崎は校長の顔色の変化に戸惑いつつ、恐る恐る声をかけた。
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