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神崎は武藤が泣いていることに驚きつつも、心配そうに頭を撫でようとした、が。
_____…こいつ触られんの嫌いなんだっけかぁ…。
寸前で思いとどまり、手を引いた。
その代わり武藤の顔を覗き込み、ごめんな?と声をかけた。
すると武藤は再びとんでもない行動に出たのだ。
「え、…おい、樹?」
あれだけ触れられるのを嫌がっていた武藤が、神崎の手を取り自分の頬に当てたのだ。
そしてだらしなく裾が出たワイシャツの下から、頬に当てていた神崎の手を滑り込ませた。
「おい…っ、馬鹿お前マジでそういう趣味かよ…!」
_____否定はしねェが巻き込まれンのは御免だぞ俺はァ!
神崎の心の声は届かなかったが、武藤はある場所でピタリと動きを止めた。
「樹?……お~い。」
「……ここ、何回も殴られた。多分アザすげぇと思う。」
「…みぞおち?酷ェことすんなぁ…。」
武藤はどうしても服を脱ぎたくなかったらしく、服の中で神崎に怪我の場所を教えたのだ。
しかしデリカシーの無い神崎は武藤の気持ちなど無視して、ド直球に質問を投げかけた。
「つか脱ぎゃぁ良いじゃん。なんでわざわざこんな逆にそう思わせるようなことした?」
「…身体見られるより誘ってるって思われる方がマシ。」
武藤は鼻をすすりながら、神崎の白衣で涙を拭いた。
「馬鹿人の服で涙拭くやつがあるかぁ!?」
まあ鼻水拭かれなかっただけマシか…と神崎はため息をついた。
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