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「いやいや…神崎先生貴方という人は…。」
校長は、涙を拭く素振りを見せているが一粒も涙は流していない。
「……あのぉ?」
神崎は困り果て、若干素が出ている。
「いやはやすまんねぇ…。
ほら、わし校長じゃろう?この学校の生徒、特に武藤樹君のような"とらぶるめいかぁ"の中学歴などはよく見ておってのう。」
「…校長先生、そこは普通に問題児でよいのでは?」
「黙って聞いておれ坊や。」
_____坊や…!
まさか坊やと呼ばれる日が来るとは…と神崎は思いつつ黙って話を聞くことにした。
「彼、側から見たらかなりの悪ガキなどと思われるじゃろうて…まあわしも初対面の時は足がすくんで動けなかったがのう。」
懐かしむように校長としての威厳の無さを露呈した校長に、神崎はかなり引いていた。
「保護者からの注意事項も無く、こちらがどうすれば良いか分からず悩んでいたんじゃが、書いてあったのじゃよ。」
「…は?」
注意事項書いてねェってのに書いてあったって何言ってんだこいつ?と、少し神崎はイラついていた。
「武藤君の書類じゃのうて、辻君の書類に。」
「辻…ですか。」
_____…そういや不良生徒だからって樹の書類にしか目通してなかったな。
「そこに全て書いてあったんじゃ。じゃから心配で心配で……そこでじゃよ、神崎先生、貴方という心強い味方が彼について本当に安心じゃ。」
校長のその言葉を聞いて、神崎は覚悟を決めた。
「校長先生、折り入ってご相談があります。」
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