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「あ、お前先風呂入ってこい。」
「風呂…あ。」
「あ?あぁ、着替えなら前と同じとこ。」
落ち着いた武藤は寝間着を持ち、風呂場へ向かおうとした。…が、くるりと振り返りこう言った。
「…絶対覗くなよオッサン。」
「あ?あぁ…本気で嫌がることはしねェさ。」
神崎は背中を見せたまま手をヒラヒラと振って鼻で笑った。
それを見た武藤は最後まで神崎を見据えて風呂場に駆け込んだ。
「…そんな見られんの嫌かねぇ…?」
そう神崎が呟いた時、
プルルルルっ…プルルルルっ…
固定電話の音が鳴った。
_____家電なんて珍しいな。学校からか?
そう思った神崎は、面倒臭そうに立ち上がり受話器を取った。
「はい神崎ですぅ。」
『もしもし…』
「…?どちら様でしょうか。」
『……武藤君はいらっしゃいますでしょうか。』
「……!」
神崎はその一言で異変に気付いた。
神崎と武藤が同居していることは、武藤と校長しか知らないはずなのだ。
「…いえ、うちは神崎ですが…電話番号間違ってませんかねぇ?」
『神崎さんのお宅ですよね。合っていると思います。武藤君はいらっしゃらないのでしょうか。』
「いい加減にしてくださいよぉ、俺一人暮らしですし。」
『そんなはず無い!!武藤君をお願いします!!』
「居ねェっつってんだろクソジジィ。切るぞ。」
『あのっ…_____
相手の返事を聞くことなく、神崎は受話器を置いた。
_____なんなんだあのジジィ。俺と樹は同居して2日目だぞ…つかそもそもなんで俺んちの番号知ってんだよ…。
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