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「ふう…」
俺もまた、ベッドの下段に身を横たえた。
我ながら今日はこれで完璧。心身の疲れもいい具合だし、眠気も良好。
後は目を閉じて、時を待つだけ。
深羽飛の「おやすみ」から導かれる極上の夢。
それが具体的にどういうものかというと、「凜乃(りんの)ちゃん」の夢だ。
説明しよう! 凜乃ちゃんとは…。
深夜枠で現在放送中にアニメ「白衣の守護天使(しゅごてんし)! やっちまいナース」のキャラクターで、天使界名家のお嬢様であり当代随一の美少女キャラである。
ヘタレのくせに口だけは達者という主人公の花都(はなと)に心底惚れ込み、あの手この手、時には汚い手も使って彼の守護天使の地位奪取を目論む。
しかし、花都にはすでに先輩天使の柚香(ゆずか)が守護についているだけでなく、複数の先輩天使たちが虎視眈々とその座を狙っているという典型的なハーレム設定。
ちなみに彼女たちは天使である上にナースの格好をしていて、見た目はざっくり十代後半くらい。
「白衣の天使」以外で、「ナース」という単語にあまり意味はないように感じる。あえて言うなら、花都がピンチのときに放たれる「マジカルミラクルカタルシスライト」という魔法に敵を消し去る浄化作用があるってことくらい、かな。
それはともかくとして。
凜乃ちゃんは、ブロンドのツインテールを揺らしながら放つ高笑いがこの上なく愛らしい俺の嫁。
そう、俺の嫁なんです。
でも俺には、その重要な事実を絶対に悟られるわけにはいかない事情がある。
親からもらったすらっとした長身に切れ長の目、長い手足に小さな顔。成績は学年トップクラスの上、スポーツでもオールラウンダー。いつも冷静沈着で女子たちの熱い視線はクールにかわす、そんな風に周囲に認識されてる、はず。
女子たちの熱い視線部分は、男子校のため日常ではなかなか得られないことは弁明しておこう。せいぜい学食のおばちゃんくらいです。
そういう事情で、とてもじゃないけど二次元に嫁がいるなんて言えるようなキャラじゃない。
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