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 だが、わたしたちはすべての事柄を別にしていたわけでもなかった。  わたしたちの体型はほとんど変わりはなかった。中学一年生の時、男子の目を気にして胸の膨らみを隠そうとしたわたしに、「わたしたちは双子なんだから、体型が似てなくちゃ駄目でしょ。わたしがブラに詰め物してるみたいに思われるじゃない」と、妹は言ってブラジャーを着けることを強要した。  ワイヤーブラに押し上げられ、おとなの形になっていく乳房がなんだか卑猥で、妹のように背中をしゃんと伸ばして誇らしげに姿見を見ることなどできなかった。  やらしい目をした男に捕まり、セーラー服の裾から手が差し込まれ、ごつごつとした手で鷲づかみにされる夢を何度も見たほどである。  高校へ入学する年の春休みにも、別々の高校へ行くというのに、自宅で出来る目元のプチ整形につき合わされ、わたしたちは同じ顔で居続けた。  ある日を境に引きこもり気味になったわたしだったが、妹は誰かを家に招く時、ノーメイクでいるわたしに必ず化粧をさせた。わたしが厚化粧しているみたいに見えるでしょというのが理由だった。  双子であることを忌み嫌いながら、他人の目から見てわたしたちがそっくりではないといわれることに、なぜか不安を覚えているようなのだった。  それも、ある人の言葉で解明された。その人はわたしと妹を見比べて、そっくりだけとお姉さんの方が清楚な感じがするねといった。すると妹は「同じ顔じゃない。姉はただ単にしゃべらないだけよ」とムキになって反論したのだった。  妹はわたしに賛辞が送られることが我慢ならないのだった。わたしに負けるよりは同じでいる方がいいのだろう。  妹はわたしにことごとく勝っているのに、まだ物足りないらしかった。
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