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四年前、わたしは交通事故に遭い、足が不自由になった。
その日はわたしたちの誕生日で、妹は自分の友達と誕生会をやるといって出かけていた。もう、両親から祝ってもらう年でもなかったが、わたしは毎年食事に誘う両親をにべも無く断ることができなかった。予約していたレストランで食事をし、やっと来年はワインで乾杯できるわねと、両親に喜ばれたが、結局誕生会はそれが最後となった。
帰宅してお風呂に入り、もう寝ようかと思っていた時だった。
メールで妹から連絡があった。折り返し電話をしてみると、電話に出たのは当時つき合っていた妹の彼氏で、妹が酔いつぶれてしまったので駅まで迎えに来てほしいといわれた。
車の免許だって持ってないし、わたしに何が出来るってわけでもなかったが、とりあえずわたしが行くしかなかった。
こんなふうに一日を棒に振っているわたしに対してなにもいわない両親も、酔いつぶれて醜態をさらしている妹を許すはずがなかった。
行く途中、雨が降り始めた。すべての不幸がわたしに降りかかるようになっていたとしか思えない。わたしは車にひかれ、病院に担ぎ込まれた。
到着の遅いわたしに再び電話をかけてきた妹だったが、それに出たのはわたしの荷物を預かり、手術室の前でどうしてこんなことになったのか全く理解できず途方に暮れていた両親だった。
秘密が明るみに出て、妹はこっぴどく叱られたことだろう。妹はわたしが事故にあったことを恨み、わたしは妹に呼び出されたことを憎んだ。
それまでも表だって喧嘩をしていたわけではなかったが、もともと仲のいい姉妹でもなかった。
相手のことをわかりすぎていただけに、自分の嫌な部分を見透かされていそうで寄り合えなかった。
だからこそ、妹は疑心暗鬼なのだった。
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