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裕二は湯船の中で、花江にLINEを送っていた。
12時を回っていたが花江はすぐに返事をくれた。
『久しぶり! 私は元気だよ!』
花江は、元気にやっていること、まだ結婚はしていないこと、あの時別れてから誰とも付き合っていないことを、教えてくれた。
しばらくやり取りが続いた後、お互い『おやすみ』と返し、LINEの会話が終わった。
裕二は、左手を抑えながら、
自分が孤独感にさいなまれていたことに気付いた。
その夜を境に、裕二と花江のLINEのやり取りが始まった。
英子との生活を続けていると、どうしても花江との同棲生活と、比べてしまう。
花江は出かける準備は早いが、英子は1時間以上かかる。
英子の歯ブラシを間違って使ってしまったときは、ひどく怒られた。
花江の時は笑って許してくれた。
お風呂上り、パンツ一枚でウロウロしていても、花江は何も言わないが、英子は「だらしない」と不機嫌になる。
今の生活、すべてが窮屈に思えた。
英子との会話よりも、花江とのLINEのほうが楽しかった。
夜、同じベッドで英子が傍にいても、孤独感を感じることが多くなった。
そんな時は、左手を抱いて寝た。
花江との秘密のやり取りは、お風呂場かトイレに限られた。
トイレやお風呂が、必然的に長くなり、英子も心配するようになった。
「大丈夫? 疲れてるの?」
裕二の長風呂に、英子が顔を出すようになった。
「ごめん、寝落ちしてた……」
「本当に、お仕事、無理しないでね」
英子は裕二に対して、優しい言葉を投げかけることが多くなった。
『好きな人ができたの』
ある時、花江は裕二にそう連絡してきた。
裕二はそれに食いつき、花江に色々と質問した。
『どこで知り合ったのか』『どんな相手なのか?』『相手は花江のことをどう思っているのか』
だが、花江から返ってくる返答は、『それは秘密』とか、『片思い中が一番楽しいのかね』と、はぐらかすものばかりだった。
当たり前だが、その相手は自分ではない。
しかし、気になって仕方なかった。
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