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閉じる時は、いつも不安なのに…開けるときは待ち遠しくて仕方ない。
暖かな陽射しを感じて、早く目覚めたいのに叶わないのがもどかしい。
優しく髪をすいてくれるのがわかるのに…
頬を指でなぞるのがわかるのに…
軽く合わさる唇も感じるのに…
答えられないのが、悔しい。
でも、やっと……
「みーはーるーくーん、もう雪がとけるよぉ?」
冗談口調な独り言にやっと答えられる。
「おはよ、ユキちゃん」
目を開けると、そこには最愛の君がいる。
満面の笑みにうっすら安心感で滲んだ涙を含ませて、いつもぼくを迎えてくれる。
「おっせーよ、巳春」
「ごめんね?だーい好き」
長い冬のせいでまだ体の自由が聞かない腕を、どうにか伸ばせば強く引かれて抱き締められる。
「オレもだ」
目を開けてすぐに君がいる。
この幸せの為だけに、長い冬を乗り越える。
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