第2章 お世話になるニャ

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「何だか様子がおかしいが」 「美味そうと言うより、ダメージ受けたみたいニャ」 「きっと美味し過ぎたんだよ」 「どれどれ?一口食べてみるニャ。うおっ!これは…」 「そんなに美味しい?」 「猫魔、顔も身体も真っ赤だぞ」 「この饅頭は凶器ニャ」 「口から火吹いてるし…唐辛子入れ過ぎたかな?」 「饅頭に唐辛子にゃんか入れるニャ!!」 「爆弾饅頭と名付けよう」 「ちょっと光も食べてみて」 「わ、私は…食べたいのは山々だが…帰ったら施術をせねばならぬのでな、エネルギーが変わっては良くない。ここはぐっと我慢して遠慮しよう」 「もう、いつもの光なら言わなくたって食べてるのに」 光になりきるか… ああ、わたしが壊れて行く。 「そんな事より、物の怪はもう居ないニャ。今のうちにヨモギを摘んでとっとと帰るニャ」 「そうはいかないわ!」 「誰?」 「貴女猫茶屋やってるんですって?奇遇ね、私はヴェネツィーの都でドッグカフェをやってるのよ」 「へー、そうなんだ。仲間だね」 「はあ?何が仲間よ、一緒にしないで頂ける?茶屋よ茶屋、ダサっ。うちのお客さんがハポネ村に猫茶屋が有るって言うから来てみれば何よ、小汚い店じゃない」 「悪かったわね、うちは元々茶屋だったの。エドの殿様の時代から続いてる由緒正しい茶屋なんだからね」 「オーッホホホホホホ、由緒正しいですって?聞いて呆れるわ。ウルフちゃん、やっておしま!」 「バウワウ」 「どうしたの?早く片付けておしまいなさい」 「クーン」 「喧嘩は嫌だと言ってるニャ」 「何が喧嘩は嫌よ。役に立たないわね」 「それなら、私が代わりに戦ってあげるわよ」 「誰?」 「物の怪ニャ」 「何なの何なの、何なのよ?」 「私はお前の心から生まれたのよ」 「何ですって?私から出た物がそんなブッサイクな姿なわけないでしょ」 「お前は、この安藤七都を妬ましく思っていただろ?」 「あーら、妬むだなんて、このアタクシが?こんな子の事なんて、全く気にも止めて無かったわ」 「お前のドッグカフェのお客が、猫茶屋の事を楽しそうに話すのを聞いて、妬ましかっただろう」 「そ、それは…」 「だから私が、お前に代わってこの子を痛めつけてやるのよ。その後ゆっくりお前も料理してやるから待っているが良いわ」 「何で私まで?!」 「さあ、行くわよ!」 〈七都に襲いかかる妬みの物の怪〉 「嫌あ!」 「七都!」
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