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【酒場】
「今年も凄い人ね」
「年に一度の大会だからね。あ、居た居た。おーい、くりきんとん!」
「あのなあ、その呼び方やめろって言っただろ」
「良いじゃない、面白い名前なんだもん」
「お前に言われたくないわいっ!そのままでアンドーナツのくせに!俺の名前は、くりがねだん。栗金団と書いてくりがねだんて読むんじゃい!わかったか!ったくう、七都の婆ちゃんが名付け親だからな、シャレで人の名前つけるなよな、っての」
「まあね、私の名前もお婆ちゃんがつけたんだけどさ」
「団ちゃん、時おばちゃんは?」
「お袋ならもう来る頃だろ。なあ、おい、光も出るんだろ?」
「出るとは?何の事だ?」
「お前本当にすっかり忘れちまったんだな。幼馴染みの俺の事まで忘れちまったんじゃ悲しいぜ。おっと、待てよ。て事は満ちゃんを嫁に貰うって話し「許さねえぞ」とは言わねえか?」
ズキン!!
何だ?今の胸の痛みは…?
またなのか?
この身体の持ち主の感情なのだな。
「なあ、満ちゃん、俺の嫁さんになってくれよ」
「ダメよ、お兄ちゃんが許さないもの。ね、お兄ちゃん?」
「ああ、そうだな。悪いが、許すわけにはいかぬ」
「はあ?何だその言葉は?おかしいとは聞いてたけどよ、貴族みてえだぞ」
「さあ皆んな!そろそろ始めるよ!良いかい?」
「この前のマルシェのおばちゃんニャ」
「母ちゃん来たな、さあて、今日ばかりは店の事は任せて俺も参加するぜ。行くぞ光」
「え?私も?」
「「私も?」じゃねえだろ、調子狂っちまうな。毎年参加してるじゃねえか。いつもなら「今年の優勝は俺が貰ったぜ」って言うところだろうが。ほら、モタモタしてねえで行くぞ」
いったい何に参加すると言うのだ?
〈団は光の神を引っ張って行ってテーブルに座らせる〉
「光ちゃん、今年も負けないわよ~」
ココットさんだ。
〈テーブルの上にはグラスが並べられている〉
「さあ、今年出来た美味しいワインを注ぐよ」
これは、葡萄酒。
良い香りだ。
「準備は良いかい?それじゃあ始めるよ。用意スタート!」
「おい光、何のんびり香りなんか楽しんでるんだよ。時間内にどんだけ呑めるかの勝負だ。悠長に構えてる暇なんかねえぞ」
なるほど、そういう事か。
こういう事は、光の天使の方が得意なのだが…
「も、もうダメだ。俺はもう呑めねえ」
「おや、もう降参かい?ほら、水だよ」
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