第3章 強い女性はお好き?

3/6
前へ
/158ページ
次へ
【酒場】 「今年も凄い人ね」 「年に一度の大会だからね。あ、居た居た。おーい、くりきんとん!」 「あのなあ、その呼び方やめろって言っただろ」 「良いじゃない、面白い名前なんだもん」 「お前に言われたくないわいっ!そのままでアンドーナツのくせに!俺の名前は、くりがねだん。栗金団と書いてくりがねだんて読むんじゃい!わかったか!ったくう、七都の婆ちゃんが名付け親だからな、シャレで人の名前つけるなよな、っての」 「まあね、私の名前もお婆ちゃんがつけたんだけどさ」 「団ちゃん、時おばちゃんは?」 「お袋ならもう来る頃だろ。なあ、おい、光も出るんだろ?」 「出るとは?何の事だ?」 「お前本当にすっかり忘れちまったんだな。幼馴染みの俺の事まで忘れちまったんじゃ悲しいぜ。おっと、待てよ。て事は満ちゃんを嫁に貰うって話し「許さねえぞ」とは言わねえか?」 ズキン!! 何だ?今の胸の痛みは…? またなのか? この身体の持ち主の感情なのだな。 「なあ、満ちゃん、俺の嫁さんになってくれよ」 「ダメよ、お兄ちゃんが許さないもの。ね、お兄ちゃん?」 「ああ、そうだな。悪いが、許すわけにはいかぬ」 「はあ?何だその言葉は?おかしいとは聞いてたけどよ、貴族みてえだぞ」 「さあ皆んな!そろそろ始めるよ!良いかい?」 「この前のマルシェのおばちゃんニャ」 「母ちゃん来たな、さあて、今日ばかりは店の事は任せて俺も参加するぜ。行くぞ光」 「え?私も?」 「「私も?」じゃねえだろ、調子狂っちまうな。毎年参加してるじゃねえか。いつもなら「今年の優勝は俺が貰ったぜ」って言うところだろうが。ほら、モタモタしてねえで行くぞ」 いったい何に参加すると言うのだ? 〈団は光の神を引っ張って行ってテーブルに座らせる〉 「光ちゃん、今年も負けないわよ~」 ココットさんだ。 〈テーブルの上にはグラスが並べられている〉 「さあ、今年出来た美味しいワインを注ぐよ」 これは、葡萄酒。 良い香りだ。 「準備は良いかい?それじゃあ始めるよ。用意スタート!」 「おい光、何のんびり香りなんか楽しんでるんだよ。時間内にどんだけ呑めるかの勝負だ。悠長に構えてる暇なんかねえぞ」 なるほど、そういう事か。 こういう事は、光の天使の方が得意なのだが… 「も、もうダメだ。俺はもう呑めねえ」 「おや、もう降参かい?ほら、水だよ」
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加