第1章 えーーーっ?神様が引退?!

3/6
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
「え?お婆ちゃんがどうしたの?」 「物の怪に襲われたって、今、餡(あん)先生の所に」 「大変。七都、行こう」 【療養所】 「越野先生、お婆ちゃんは?!」 「安藤千代子さんなら、奥の部屋に居ますよ」 【奥の部屋】 「お婆ちゃん!」 「七都。大きな声を出すんじゃないよ。ここをどこだと思ってるんだい」 「だって、物の怪に襲われたって言うから心配して来たんじゃない」 「千代子さん、大丈夫?」 「それがね、よもぎの葉を摘んでたらいきなり化けもんが現れたから、とっさに持ってた菓子を投げたんだよ。そしたら美味しそうに食べてるじゃないか。だからね、その隙に逃げて来たんだよ」 「怪我は?」 「村に戻ったら腰が抜けただけさ。杵さんが大げさなんだよ。大騒ぎしてここに運ぶんだもの」 「だってよう、いきなり倒れ込むからさ」 「杵さん、ありがとね。お婆ちゃんたら、もう」 「お婆ちゃんて呼ぶな、って言ったろ」 「はいはい、千代子さんです。そんな事より本当にお婆ちゃんが見たのって物の怪だったの?」 「だから、お婆ちゃんじゃないよ」 【天上界の図書館】 〈本を調べる光の神〉 うーん…しかし、そんなに都合良く手に入れる事が出来るものかな? 「ねえ、下界に行くなら私も一緒に行くね」 「え?」 「だって、一人じゃ何も出来ないじゃない」 【人間界ハポネ村の療養所】 「大変だ!餡先生!」 「今度は何?」 「ああ、満ちゃん。光が、光が…」 「紫月、紫月、しっかりするんだ!」 〈紫月光が運ばれて来る〉 「嘘でしょ?!お兄ちゃん!お兄ちゃん!」 「これは…もう、手の施しようが無いわね」 「餡先生お願い、そんな事言わないで!お兄ちゃんを助けて!お願いよ」 「ごめんね、私だって助けたいけど…もう…魂が抜け出てる。ほら「何で泣くんだ?」って、満ちゃんの頭を撫でてるのよ」 「そんな…そんなの…私には見えないもん」 「満…(餡先生には見えちゃうんだよね、そういうの)」 「ちょっと待って、何か来た。光?」 「しーっ」 「光?そんなの見えないよ」 「私には確かに見える…あ、何か言ってる」 「しーっ、黙って。私は光の神」 「あ、天使が居る」 「どうもー」 「何?随分軽い天使ね」 〈金色の光が光の身体に重なっていく〉 「(何をするつもりなの?あ、光君の魂が天に昇って行く)」 〈餡は天に昇る光の魂を見ている〉
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!