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「え?お婆ちゃんがどうしたの?」
「物の怪に襲われたって、今、餡(あん)先生の所に」
「大変。七都、行こう」
【療養所】
「越野先生、お婆ちゃんは?!」
「安藤千代子さんなら、奥の部屋に居ますよ」
【奥の部屋】
「お婆ちゃん!」
「七都。大きな声を出すんじゃないよ。ここをどこだと思ってるんだい」
「だって、物の怪に襲われたって言うから心配して来たんじゃない」
「千代子さん、大丈夫?」
「それがね、よもぎの葉を摘んでたらいきなり化けもんが現れたから、とっさに持ってた菓子を投げたんだよ。そしたら美味しそうに食べてるじゃないか。だからね、その隙に逃げて来たんだよ」
「怪我は?」
「村に戻ったら腰が抜けただけさ。杵さんが大げさなんだよ。大騒ぎしてここに運ぶんだもの」
「だってよう、いきなり倒れ込むからさ」
「杵さん、ありがとね。お婆ちゃんたら、もう」
「お婆ちゃんて呼ぶな、って言ったろ」
「はいはい、千代子さんです。そんな事より本当にお婆ちゃんが見たのって物の怪だったの?」
「だから、お婆ちゃんじゃないよ」
【天上界の図書館】
〈本を調べる光の神〉
うーん…しかし、そんなに都合良く手に入れる事が出来るものかな?
「ねえ、下界に行くなら私も一緒に行くね」
「え?」
「だって、一人じゃ何も出来ないじゃない」
【人間界ハポネ村の療養所】
「大変だ!餡先生!」
「今度は何?」
「ああ、満ちゃん。光が、光が…」
「紫月、紫月、しっかりするんだ!」
〈紫月光が運ばれて来る〉
「嘘でしょ?!お兄ちゃん!お兄ちゃん!」
「これは…もう、手の施しようが無いわね」
「餡先生お願い、そんな事言わないで!お兄ちゃんを助けて!お願いよ」
「ごめんね、私だって助けたいけど…もう…魂が抜け出てる。ほら「何で泣くんだ?」って、満ちゃんの頭を撫でてるのよ」
「そんな…そんなの…私には見えないもん」
「満…(餡先生には見えちゃうんだよね、そういうの)」
「ちょっと待って、何か来た。光?」
「しーっ」
「光?そんなの見えないよ」
「私には確かに見える…あ、何か言ってる」
「しーっ、黙って。私は光の神」
「あ、天使が居る」
「どうもー」
「何?随分軽い天使ね」
〈金色の光が光の身体に重なっていく〉
「(何をするつもりなの?あ、光君の魂が天に昇って行く)」
〈餡は天に昇る光の魂を見ている〉
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