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〈猫魔に猫まんまを食べさせて餡が戻って来る〉
「猫ちゃん美味しそうに食べてるわよ。天使さんも一緒にね」
「すまぬな」
「良いのよ。そんな事より、貴方のヒーリング能力…興味深いわ」
「な、何故そのように顔を近づけるのだ?」
「前の光はちょっと乱暴で好きじゃなかったけど、魂が変わると顔つきまで変わるのね」
「は、離れてくれぬか」
「フフフ、お顔が赤いわよ。か・み・さ・ま」
「何故だがわからぬが、身体が熱うなった。この身体まだ本調子ではないようだ」
「いえいえ~それは健全な男の身体よ。ほら、ここがこんなに元気」
「うおっ、な、何故このような…」
「男性が女性に魅力を感じるとこうなるの」
「肉体を持つという事は、厄介なものなのだな」
「ねえ、ここで仕事しない?住・み・込・み・で」
「うっ、そのようにそなたの手が触れると、そこが硬うなって痛い」
「どう?その気になった?住込み」
「この者には妹がおったな?心配しているのではないか?」
「妹と言っても血が繋がってるわけじゃないし、今は別々に暮らしてるんだから良いんじゃない?」
そんなわけでこの療養所の世話になる事になったのだが…
〈翌日の療養所〉
「お兄ちゃん!もう大丈夫なの?本当に生きてるのね?本当に本当に大丈夫なの?」
「あ、ああ、心配をかけてすまぬ」
「変な喋り方ね、どうしちゃったのよ光?」
「ああ、光君ね、ちょっと記憶が無いみたいなのよ」
「えーーー?」
「そ、そうなのだ」
「その変な喋り方なんとかならないの?」
「すまぬ」
「変でも何でも生きててくれたら良いの」
「私は、今の光君素敵だと思うわ。物腰が柔らかくて」
「そぉうおー?何だか気持ち悪いけど」
「お兄ちゃん。私を置いて死んだりしないでね、約束よ」
〈泣いてる満の頭を良し良しと撫でる光の神〉
「痛っ」
今のは、この身体の持ち主の感情か?
心臓が…肉体が憶えていたと言うのか?
物狂おしいほどに妹を愛していたのだな。
〈数日後〉
「お兄ちゃん、本土に行くわよ」
「私も一緒に行くのか?」
「七都も」
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