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【ハポネの港】
「船に乗るのか?」
「本当に何も憶えて無いのね」
「すまぬ」
「もう!調子狂っちゃうな。いつもならそこは「うるせえな」って言う所だよ」
「ここから船で本土のブリの港に行くのよ」
「ブリ?美味そうな名前ニャ」
「何か言った?」
「いや、何も」
「も、もう我慢出来ないニャ。魚の匂いニャ」
「何?物の怪?」
「まあ、可愛い猫ちゃん」
「どこが可愛いのよ、物の怪よ、物の怪」
「俺は妖魔の猫魔ニャ。光の神じゃニャい、光のペットなのニャ」
「お兄ちゃんが猫を飼ってたなんて知らなかったわ」
「もしもし、満?猫じゃなくて妖魔だから」
「猫魔ちゃん。仲良くしましょうね」
「はいニャ」
「聞いて無いし。まあ、悪い物の怪じゃなさそうだし良いか」
【ブリの港】
「着いた~」
「ちょっと、化け猫が居ないわよ」
「あそこにおる」
「あ、本当。もうマルシェに行ってる」
【ブリの町のマルシェ】
「美味そうな物がたくさん有るニャ」
「何だお前は?化け猫か?」
「俺様は化け猫じゃないニャ」
「怪しい、怪し過ぎる。近頃は物の怪が出るからね」
「だから物の怪じゃないニャ」
「あは、あはは、すみません。その妖魔、この人のペットなんです」
「何の騒ぎだい?おや、紫月さん家の満ちゃんじゃないか」
「あ、おばさん。今日は野菜たくさん収穫出来たから持って来たの」
「その猫放しておやりよ。この子達が連れてるんだ。悪い物の怪じゃないよ。私が保証する」
「まあ、あんたがそう言うなら信じるよ」
「さあこっちへおいで」
〈マルシェの八百屋で荷物を下ろす満達〉
「猫ちゃん、お腹空いてたんだろ?お食べ」
「貰って良いのかニャ?」
「遠慮しないでお食べよ。うちは八百屋だからさ、魚じゃなくて悪いけど美味しいよ」
「ありがとニャ。頂きます。美味美味美味いニャ」
「美味しいかい、そりゃ良かった。ささ、あんた達もお食べ」
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