第2章 お世話になるニャ

3/6
前へ
/158ページ
次へ
「ねえ猫魔。どこに寝泊まりしてるの?」 「俺はどこでも寝られるニャ」 「どこでもって、外?」 「そうニャ」 「そんな野良猫みたいなのやめて、うち来ない?」 「うニャ、うニャ、美味いニャ」 「ここね、猫茶屋になってるのよ「お婆ちゃんが居る猫茶屋」って言うの。うちのお婆ちゃんがつけたんだけどさ、いい加減なネーミングよね」 「俺は猫じゃないニャ」 「似たようなもんじゃない」 「うんにゃ、違うニャ」 「ニャー」 「おや、ミミ。来たのかい」 「か、可愛いニャ。ミミしゃんですか?」 「ニャー」 「俺は猫魔です」 「ニャー」 「そうですか、ここは居心地が良いですか」 「猫まんまは、ミミの言葉がわかるのかね?」 「そのようだな」 〈通り過ぎるミミを見ている猫魔〉 「七都、俺決めたニャ。ここでお世話になるニャ」 「じゃあ、早速だけど、ヨモギの葉を摘みに行くの付き合って」 「何で俺が?」 「お婆ちゃんみたいに物の怪に襲われたら怖いもん」 「七都なら物の怪ぐらいやっつけられそうにゃけどニャ」 「何を仰るウサギさん。このか弱い乙女に物の怪退治なんて出来るわけが御座いませんわ」 「光、帰るニャ」 「そうだな」 「ちょっと猫まんま!聞いてる?帰るって、さっき「ここでお世話になるニャ」とか言ったばっかりよね?」 「そうだったニャ」 「つべこべ言わないで行くわよ」 「うにゃ、その猫つまみやめるのニャ」 【山道】 「ちょっと待って」 〈何やら道具を広げ始める七都〉 「物の怪が出たのはこの辺りって言ってたわよね」 「何探してるのニャ?」 「武器になる物って言ったら、スリこぎでしょ、綿棒に、おろし金ぐらいかな?」 「そのような物が武器になるとは思えぬが」 「あら喋った。ボソッと突っ込みをありがとう」 「そんな事言ってる間に来たニャ!」 「えっ?物の怪?!わっ!どどどどどどどうしよう?そ、そうだ、お婆ちゃんが饅頭投げたって言ってた」 「千代子婆ちゃん、物の怪が美味そうに饅頭食べてる間に逃げて来たのニャ」 「本当は、食べ物を粗末にしちゃいけないんだよ。良い子は真似しないでね。えい!」 〈物の怪めがけて饅頭を投げる〉 「食べてるニャ」
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加