21人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ猫魔。どこに寝泊まりしてるの?」
「俺はどこでも寝られるニャ」
「どこでもって、外?」
「そうニャ」
「そんな野良猫みたいなのやめて、うち来ない?」
「うニャ、うニャ、美味いニャ」
「ここね、猫茶屋になってるのよ「お婆ちゃんが居る猫茶屋」って言うの。うちのお婆ちゃんがつけたんだけどさ、いい加減なネーミングよね」
「俺は猫じゃないニャ」
「似たようなもんじゃない」
「うんにゃ、違うニャ」
「ニャー」
「おや、ミミ。来たのかい」
「か、可愛いニャ。ミミしゃんですか?」
「ニャー」
「俺は猫魔です」
「ニャー」
「そうですか、ここは居心地が良いですか」
「猫まんまは、ミミの言葉がわかるのかね?」
「そのようだな」
〈通り過ぎるミミを見ている猫魔〉
「七都、俺決めたニャ。ここでお世話になるニャ」
「じゃあ、早速だけど、ヨモギの葉を摘みに行くの付き合って」
「何で俺が?」
「お婆ちゃんみたいに物の怪に襲われたら怖いもん」
「七都なら物の怪ぐらいやっつけられそうにゃけどニャ」
「何を仰るウサギさん。このか弱い乙女に物の怪退治なんて出来るわけが御座いませんわ」
「光、帰るニャ」
「そうだな」
「ちょっと猫まんま!聞いてる?帰るって、さっき「ここでお世話になるニャ」とか言ったばっかりよね?」
「そうだったニャ」
「つべこべ言わないで行くわよ」
「うにゃ、その猫つまみやめるのニャ」
【山道】
「ちょっと待って」
〈何やら道具を広げ始める七都〉
「物の怪が出たのはこの辺りって言ってたわよね」
「何探してるのニャ?」
「武器になる物って言ったら、スリこぎでしょ、綿棒に、おろし金ぐらいかな?」
「そのような物が武器になるとは思えぬが」
「あら喋った。ボソッと突っ込みをありがとう」
「そんな事言ってる間に来たニャ!」
「えっ?物の怪?!わっ!どどどどどどどうしよう?そ、そうだ、お婆ちゃんが饅頭投げたって言ってた」
「千代子婆ちゃん、物の怪が美味そうに饅頭食べてる間に逃げて来たのニャ」
「本当は、食べ物を粗末にしちゃいけないんだよ。良い子は真似しないでね。えい!」
〈物の怪めがけて饅頭を投げる〉
「食べてるニャ」
最初のコメントを投稿しよう!