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『4月1日。今日から県立高校に勤めることになった。やっと正規の先生だと胸を張れる。今まで常勤で他の学校にいたけど、やっぱり正規の先生って違うな。歳は違うけど、俺と同期採用の先生も一緒らしい。なんか同期がいるってうれしい』
「これ、前田先生のことだ」
彰浩は茶化すように言った。
「前田先生、長谷川先生、片付けは終わりましたか?」
一心が寝室に入って来た。
「まだ終わっていませんが、ちょうど山本先生の日記を見つけたんです。どうです、休憩がてらに山本先生の日記を読むって」
彰浩が楽しそうに提案した。
「日記を読むのは遠慮しておきます。個人の秘密を覗き見るのはどうかと思うから。ですが、休憩はちょうどいいでしょう。斎藤先生、三橋先生、休憩にしましょう」
雄二と綾香、彰浩、輝也の4人は日記を中心にして床で円を囲むように座った。一心は離れた窓辺で綾香が持ってきていたお茶を飲みながら窓を開けて外を眺めていたが、しばらくして「段ボールが足りなさそうだから学校に行って余っているものを取ってくる」と言って出かけてしまった。
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