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「まさかそこまで計算していたとは…。流石、詩織ほんと凄いわ。天才かよ」
昴の賛辞に対して私は何も言えなかった。
加奈さんと対峙していた間は、アドレナリンに委せて何も考えずに突っ走っていた。
だけど…いざ全てが終わり、冷静になって自分の行いを省みると、途端に足元がぐらつく。
―本当にこの選択で正しかった?
原因が何であれ、結果として私は加奈さんを地獄に突き落とした。
それだけじゃない。加奈さんを敢えて自由の身のまま外の世界へ放つ事で、これからも不倫は続く。
つまり、男性たちの奥さんが近い将来傷つく事になるかもしれない。
まさか自分が、躊躇いもなく非道になる事が出来てしまうとは、思ってもみなかった。
無垢なヒナちゃんに渡した電話番号は、彼女の母親を潰すための手立てだった。
影で麻未さんを操って、加奈さんの私生活の交遊を崩壊させた。
琢磨さんとヒナちゃんを守るという大義名分の下、不倫を黙認する事を選んだ。
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