予祝の行方

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これらの残酷な仕打ちは全て、紛れもなく私が与えてきたもの。 真っ直ぐな人間であるという事―それが取り柄のない私の、唯一の美点だと誇って生きてきた。 だけど一度道から外れてしまった今、もはや誠実であるとは言えない。 顕にされた真っ黒な本性は、意に反してこれからも拡大し続けてしまうのだろうか。 例えば今後また同じような事が起こったとして、私は再び悪魔になることを選んでしまうの? 対峙すべき相手がたとえ悪人であったとしても、私に裁く権利はないのに。 偽善の行動を振り撒く事で、他人から存在価値を認めて貰うのが私―橘詩織という人間だった。 それならば、偽善すらも棄ててしまった私は一体誰なのだろう。私は今、何処に居る? 自分の事が理解できない。自分を支えていた確かな軸を喪ってしまうのが怖い。 段々息が苦しくなり、右手を喉に添えた。 「……どうした?詩織!?」 昴に肩を揺さぶられて、はっと意識が目の前の光景に戻る。
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