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本当に加奈さんが去ったのだろうか、二階からじゃ状況が把握できないから何とも言えない。
取り敢えず下に行ってみようか、と目で無言の会話を交わして私たちが身体を離した時、階段を一段ずつ踏みしめる足音が聞こえた。
そして、琢磨さんが階段から姿を現した。
精根尽きた表情だけど、どこかほっとしているようにも見える。
「終わったよ、全部。加奈はもう出て行った。話し合いでは法外な慰謝料を要求されたけど、断った。そもそもこっちには何の非もないし、慰謝料を求められるような法的関係も持ってないからね。同居が落ち着くまで、って結婚を先延ばしにして良かったよ」
「そうか。通帳とか金目の物は盗まれてないよな?」
「うん、確認したけど通帳もカードも全部あったよ。ただ、通帳の残高の減り具合を見て驚いた。ほんの短期間であんなにお金を使われていたなんて…。生活費の管理を任せるんじゃなかった」
「まあ手切れ金だと思えば安いもんだろ」
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