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側で交わされている会話をぼんやりと聞きながら、物思いに耽る。
加奈さんが巻き起こした嵐によって、私たちはどれほどの犠牲を払ってきたのだろう。
吸い取られたお金、心に負った傷。それから私に関しては、尾行のために自主休講を重ねてきた代償。
本当の終わりはまだ先、全ての苦悩から解放された時。
ただ、今だけはゆっくり休みたかった。
極度の緊張から解放された倦怠感が酷く、直ぐにでも床にへたり込みたいくらいだ。
ふと気が付けば、いつの間にやら兄弟間の会話は終わっていたようだった。
琢磨さんは昴から視線を外すと、私の正面へと歩み寄った。
「ありがとう。詩織ちゃんが全部やってくれたんでしょ?」
私だけのお手柄みたいになっているけど、それは違う。
由実が協力してくれたから証拠を押さえられた。昴が隣に居てくれた事で最後まで立っていられた。
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