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それに、私は困っている人を誰彼関係なく助けるほど善人じゃない。これが然程親しくない人だったら、徹底して見ないふりをしただろう。
大切な人達だからこそ助けたいと思うのは当然の事だ。
琢磨さんの言葉を素直に受け入れられなくて、無言で首を横に振る。
それでも琢磨さんは、微笑みながら繰り返し感謝を口にした。
「俺もヒナも、それに多分昴も、詩織ちゃんのお陰で呪縛から解放された。大袈裟じゃなく、本当に詩織ちゃんに救われたんだ。ありがとう」
***
今日は多賀家に泊まっていく事になった。
夕方に目を覚ましたヒナちゃんは、独りになる事を極度に嫌がった。
私と琢磨さんが夕食後のお皿洗いをしている間は昴の隣にぴったりと張り付いていたし、お風呂は私と一緒に入った。
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