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そして現在、夜の十時半を回っている。
時間を確認しようとつけたスマホが、真っ暗なヒナちゃんの部屋で一点のきつい光を放っていた。
一人では眠れないというヒナちゃんのため、私が一緒に寝る事になった。
これもきっと加奈さんに対するトラウマのせいだろう。
半狂乱で叫んでいた加奈さんの形相…うん、確かに夢に出てきそうで怖いわ。
ベッドの隣に敷かれた布団で身じろぐ。疲れ切っている筈なのに何故か目が冴えていた。
気分転換に、水かお茶でも飲もうか。
ヒナちゃんが起きそうに無い事を確認して、そっと部屋を出た。
台所を目指して一階に下りると、リビングに続くドアの隙間から細い光が漏れている。
「……にマジだったんだよな?」
「ああ。ごめん、好きになって」
ドアノブに指先をつけたまま、気配を殺して立ち止まる。
好き、って聞こえてしまったけど、これは私が聞いても良い話なのだろうか。
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