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ただやっぱり、多賀兄弟による所謂『恋バナ』の中身は非常に気になるところである。
「俺の完敗だよ。昴には敵わない」
昴と琢磨さん、双方に共通する人間関係なんて相当限られている。
例えば私とか、と自分で言ってみて寒気がした。
誰かの恋の噂話に取り上げられるのは由実みたいな美人の役目であって、生憎私はそういうのに無縁だから。
自惚れたところで、後々勘違いの恥ずかしさに身悶えするだけだ。
暗闇に佇んで自嘲の笑みを浮かべていると、続く昴の言葉を聞いて愕然とした。
「詩織には俺が…婚約者がいたから遠慮したのか?」
「いや、昴のことは関係ないよ。元々振り向いてもらえる筈がなかったんだ」
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