Vo.1 わたしのこと

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昔の音大は女子ばっかりだった。 でも私たちは結構モテた。 『音大生』というのがステイタスで、 ブランド好きの男には自慢のアクセサリーだった。 実際のところ バブル期の音大生はかなりきらびやかだった。 まるで校則のようにヴィトンを持って ディオールのネオンのようなルージュをひいて 車で登校するコも多かった。 それでも育ちの良い芸術家たちに悪いコは少ない。 私はここで沢山の友人とめぐり逢った。 一生の宝物だと思っている。 そう、私が両親に感謝していることといえば 音大に附属の中学から入学させてくれたこと。 私は十年を友人たちと毎日毎日 ヴァイオリンやピアノを弾いて 歌って 笑ったり泣いたりして過ごしたのだ。 あの頃の私は まさか自分がこんなふうな人生を歩むとは 想像もしてなかった。
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