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事件記者としての私の経験からいえば、昨年などは誠に不謹慎な表現ではあるが大豊作の年であったのだ。
事件記者としての本分で前年2013年の主な犯罪事件を時系列に並べ、列記していくと、けっしてこの国が平和などではないことがわかる。
読者諸氏にとっては現代の闇を照らすというには、あまりに生々しく痛々しい傷を抉るような最近の記憶を掘り起こすもので誠に恐縮ではあるのだが、私はこれらを記憶の墓場に眠らせてしまうようなことはできない質だ。これは人としての性分である。
2月には吉祥寺女性強殺事件が発生したし、その翌月の3月には江田島市のカキ養殖加工会社で中国人の技能実習生により、同工場の日本人経営者を含めた社員8人が殺傷された事件も起こっている。
6月には千葉県習志野市の遊歩道脇で凶悪な殺人事件も起こった。千葉県警による正式な呼称は千葉県習志野市茜浜一丁目における女性殺人事件だが、この事件は警察庁捜査特別報奨金(公的懸賞金)対象事件に指定されるとまで聞く。
7月には山口県の周南市金峰(旧鹿野町)で発生した、近隣に住む高齢者5人が殺害された連続殺人・放火事件が起こっている。
8月には電子掲示板の有料サービスの利用会員の個人情報がネットワーク上に大量に流出した情報漏洩事件も起こっている。
同月の8月25日には三重県で中3女子死亡事件が起きている。これは私も取材に現地へと赴いた。三重県警による正式な呼称は三重郡朝日町地内における女子中学生強盗殺人・死体遺棄事件で当初は強盗殺人事件として扱われたが、後に強制わいせつ致死罪・窃盗罪での立件となった。実に酷い事件であったと記憶している。
10月8日の東京都三鷹市で発生した殺人事件も記憶に新しい。21歳の男が元交際相手の18歳女子高生にストーカー行為を繰り返したのち刺殺した事件で本事件が誘引となり、リベンジポルノの関連法案が成立したとも聞く。加害者の身柄はいずれ東京地裁に移され、判決が下されることになるのであろう。
12月19日には大手フードサービスの社長射殺事件も起こっている。当時の社長が路上で射殺された事件は衝撃的で、凶器が消音機付きにカスタマイズされた拳銃での殺害であろうということもあり暴力団絡みのプロフェッショナルの犯行ではないか、朝鮮半島や中国大陸経由の殺し屋の仕業ではないかとも噂され、ずいぶんと物議を醸した。
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