プロローグ

3/4
375人が本棚に入れています
本棚に追加
/188ページ
「ああ、そうだ!文乃が待ち望んでいたものが仕上がったよ。コレ、さっき受け取ったんだ」 「本当!?嬉しい!!」 目の前に差し出された真新しい封筒。 文乃はそれにそっと手を伸ばす。 封筒の中から出てきたのは、触り心地の良い上質紙に巻かれた四六判サイズの単行本。 文乃はその本を手に取って表紙をじっと眺めてから、ぎゅっと胸に抱き寄せた。そして目を閉じ、心の中で強く唱える。 ───この本は私があなたを心から愛した証。私に夢を与えてくれた原点。そして私は、この本にあなたの運命を賭ける。 互いに好き合えば、2人はずっと一緒にいられるものだと思っていた。 人を愛することで愛する人を失ってしまう運命がこの世にあるなんて思いもしなかった。 そして、そのきっかけが一冊の本であることだって……。 文乃がそんな運命を変えてしまう本に出会ったのは、大学1年の夏だった。
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!