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「じゃあ、なんで」
「文乃が中にいるだろうって思って……」
「私?」
「文乃にまた会いたかったから……」
もう…。なんでそんなこというのよ…。
「なによ、それ。私は『彼女』さんじゃないのに…」
口はそうやって突っぱねたくせに、心はもう嬉しくて仕方なくなっていた。
「そうだよね。でも、そう思ったら止められなくてさ」優人が微笑む。
「文乃さえ良かったら、昨日の続き、また付き合ってくれる?」と文乃の顔を覗き込んだ。
自然と頬が緩んでしまう。その顔を隠したくて、文乃は優人から視線を外し、図書館の入口の方を見た。
「…いいけど?でも自宅はまだダメだからね?」
そう言ったのは、ただ軽い女だと思われたくなかったからだ。だって昨晩、何度も拒否したことを後悔していたのだから。
「うん。それでもいいよ!文乃に会えれば、それだけで!」
優人が嬉しそうな声を出し、文乃の手をするりと取る。
「これからは文乃が僕を図書館に入れてね?」
優人は文乃の手を引く。
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