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なのに。
「……癌?」
妊娠と同時に、病気が判った。
生死に関わるなんて。
「僕の方が早く死ぬのは確実だけど。できれば君には長く生きてもらいたい。今回は諦めて……」
「いやなの……っ!」
彼女は告白してくれた、辛い過去を。それが彼女が頑なだった理由だと判った。
人生に二度も子供を自分の意志で失くすのは、辛いだろう。
「君は産みたいのに……」
でも、もし、君の命が早くに尽きたら。子供は僕のように傷つくだろう。その時は誠心誠意子供の命が大事だったと伝えようか。
もしかしたら君も子供も失うかもしれない、それはそれで元の鞘と言う事だろうか、僕は永遠に君達を弔って生きよう。
僕は彼女の決断を受け入れた。
どんな未来が待っていても、君を愛した日々は消えない。
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