桜色の春

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車に乗る時に、LINEのメッセージが入ってることに気がついた。クラスのグループトーク。 「うちのクラス、これから横浜でカラオケだって。参加者募集中」 メッセージを読み上げると、けいちゃんはカラカラ笑った。 「あはは、そうなんだ。羽目、はずさなきゃいーけどな」 「…だね」 「千帆も行く? 行くなら送る」 「やだ。今日はけいちゃんといる」 ギアに置かれたけいちゃんの手に手を添えると、けいちゃんはポンポンと頭撫でてきた。 「ごめんな」 何で謝るの? 意味がわかんないまんま、けいちゃんは車を走らせた。 「何処向かってるの?」 「ん~、とりあえず16号。飲食店いっぱいあったから」 「外でご飯食べるの久し振りだね。何食べる?」 「そうだな。千帆の好きなのでいいよ」 「けいちゃんのおごり?」 「…お前、金持ってるの?」 「あるよ! 野口さんが1枚と小銭なら」 「……」 結局けいちゃんのお財布にも優しい幹線道路沿いのファミレスに入った。けいちゃんと外でご飯食べるのも、めったにない機会だから、あたしはそれだけでもテンション上がってた。 「何がいいかな。チーズハンバーグにしようか、和風ハンバーグにしようか迷う~」 「両方食えば?」 「無理です。けいちゃん、何にした?」 「鯖味噌定食」 「おじさんくさいよ」 「…うるさいな。たまには和食食いたくなったの」 「じゃあ、あたしはチーズハンバーグにしよっ。ドリンクバーつけてもいい?」 「いいよ」 「やたっ」 テーブルについてるブザーを押して、店員さんを呼ぶ。ここのファミレスは制服が可愛い。あたしくらいの女の子がオーダー取りに来た。注文お願いしてから、ドリンクを取りに行ったら。1枚の張り紙が目についた。 「アルバイト募集してる~。けいちゃん、どう思う?」 「へ?」 「いや、お小遣いくらいは自分で稼ぎたいな、って思って」 時給880円…。1回4時間で月に半分出たら、5万円くらい? あーでも、主婦やって学生やって、そんな暇あるのかな。
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