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「こちらが人気のラブソファですね。当店としてはこの高さと革の種類が選べるセミオーダー式のものを特にオススメしています。部屋の壁が白ですので、黒をお選びになるとお部屋の感じがぐっとスタイリッシュになりますし、赤などもアクセントになって、いいと思います」
燦燦と陽射しが差し込む明るいショールーム。小牧、と言うネームプレートをつけたお姉さんは、けいちゃんの方だけを見ながら、トクトクと説明した。20代半ばのしゃべる度に前髪掻き上げるお姉さん…さっきから、この人、あたしのこと無視なんだよね。
カーテン選んでる時も、ダイニングテーブル選んでる時も、ずっと目線はけいちゃん。どうも、新生活始めるけいちゃんに、付き添う母と、その妹…くらいの図式が、彼女の中で出来上がってるっぽい。
意見を求められないなら…と、さっきから無口なあたしもいけないのかもしれないけど。ぶっちゃけ経済力ゼロのあたしが、アレコレ言うのもなあ…。コレとコレ、どっちがいい?くらいの二択ならいいんだけど。
「でも、セミオーダーだと納期掛かりますよね」
口元に手を当てて、けいちゃんはソファの近くの受注表兼プライスカードを見て呟く。お値段18万円~。うーわー、高っ。
「2週間程見て頂いてます」
「うーん、ギリギリかなあ」
「ご希望のお日にちありますか?」
「3月いっぱいに引っ越したいんですよね」
けいちゃんに言われて、お姉さんはカレンダーを確かめる。
「そうですねえ…それですと、少し厳しいかもしれないです」
「そうですか。んー、この大きさや質感に似た感じの規制のものって、ありますか? 出来たら、色は濃いもので」
でしたら…と小牧さんは、別のコーナーにあたし達を案内する。先導しつつ、けいちゃんに話しかけてるし。
「こちらは先程のものより、若干サイズは小さくなりますが、木製の手すりがついていて、高級感溢れるデザインになっていて、オススメですが」
「あ、手すりいらないです。フラットな方が」
「でしたら…」
と、また別のソファの前に誘導する。あ、こっちのプライスはさっきのソファの半分くらいだ。材質よりも大きさよりも、金額ばっかり気にしちゃうあたし。
「ご結婚ですか?」
触り心地を確かめてるけいちゃんに、小牧さんが尋ねる。
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