桜色の春

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「嫌いなんだけど」 言葉とは裏腹に、自分の持ってたカバンの上に、スーツの上着と解いたネクタイも投げかけてから、けいちゃんはあたしの上に覆いかぶさる。 「千帆のえっち」 意地悪な笑みを浮かべながら、けいちゃんはあたしの頭の下に腕を挿し入れて、もう一度キスをした。上と下からけいちゃんに挟まれて、あたしの口内はけいちゃんの舌にぐじゅぐじゅに掻き乱された。 奪われていく自由が、呼吸が、苦しいのに心地いい。 「け…いちゃん…好き」 「知ってるから、お前もう俺を煽るな。マジで、歯止め効かなくなる…っ」 どんだけ我慢したと思ってるんだよ。ひとりごちてから、けいちゃんはあたしのセーターの裾をたくしあげた。素肌が外気に触れて、冷たさを感じるより早く、けいちゃんの熱い唇を感じた。 首筋を舌で舐められ、唇で吸われて、びくっと身体が反応しちゃう。打ち上げられた魚みたいに跳ねたあたしに、けいちゃんは満足そうに目を細める。 「寒いの? 千帆」 知ってるくせに、けいちゃんは意地悪だ。 「…へーき」 強がって言うと、けいちゃんはあたしの背中に手を回してブラのホックをぱちんと外した。いつもより荒っぽくせわしなく、けいちゃんはあたしの身体を愛撫してく。 「…ンんっ」 なのに、あたしの身体はそれを悦んでる。激しく求められて、あたしの声が淫らに震えた。
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