日常だ

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バン 一瞬、何が起きたのか 分から無かった 静かな戦場(食卓)に突然、 大きな物音が響いた 爆竹では無い では音の正体は何か? それは猫だった 物静かに座っていた猫が突然、 体勢を崩したのだ 猫の視線はテレビの 画面に釘付けになっており それを見て俺は全てを悟った テレビの画面に映っていたのは 車が電柱に衝突した 交通事故の現場映像 その中に道路の真ん中で ぐったりと倒れた 一匹の猫の姿があった 恐らく車に跳ねられたのだろう 毛並みの色や体格から察するに 同じ種であるのは間違い無い 友達だったのか、 或は親、兄弟、子 俺には良く分から無いが 目の前の猫が 悲しみにくれて居るのは ハッキリと分かった 時刻・・・午前7時2分 パパパン どうしたものかと迷っていると 突然、爆発音が鳴り響く よもや、こんなタイミングで 爆竹が鳴るとは 戦いのゴングが今、鳴らされた しかし、もはや 争うような状況では無い 猫は既に画面が 切り替わっているにも係わらず 画面をじっと見つめている 上の空でまだ気づいていない 言い訳をするつもりは無いが 如何なる状況で有ろうと ゴングが鳴った事に変わりは無い この戦いは終わらせる可きだ 俺は静かにシシャモの皿へ 手を伸ばした
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