日常だ

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猫は異変に気づいた だが、時既に遅し シシャモは皿ごと 俺の手の上に有った ガク 猫の頭が上から下へと落ちる そして、ちゃぶ台から下りて トボトボと窓の前へと移動する 『負けた方は潔よく引き下がる』 当然の結果と言う可きだろう 後は俺が窓を開け 猫が戦場を立ち去るだけ たったそれだけの事だ なのに・・・何故だ? この煮え切らない気持ちは? 勝負は勝負、ルールはルール、 戦いに勝利した 自分を恥じる必要など無い 頭を振り、迷いを断ち切る 猫の待つ、窓の前へ移動し・・・ コト 俺はソレを猫の側に置く 猫はソレを見た後、顔を上げる 『おい人間、いったい どういうつもりだ?』 猫はそう言いたそうな顔で 俺を見つめる 猫が不思議に思うのも無理もない 俺は窓の鍵を開ける訳でも無く あろうことか、 『シシャモの乗った皿』を 置いたのだ 俺と猫の間で 気まずい空気が流れる こんな時、何と言えば 良いのだろうか? 俺はやっとの思いで 一言だけ口にする 「食うか? シシャモ」 ・・・・・ 猫は何かを考えていたが 暫くして、さし出された シシャモを食べ始めた 猫が食べ始めたのを 確認したのち、 俺もちゃぶ台の前に戻り 朝食を食べる
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