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ある日ノアは、尻尾でクイクイっと僕を呼んだ。
「着いて来いって言ってるの?」
季節は冬、まだ夕方だといっても辺りは薄暗くなり始めていた。
「どこに行くの?」
ノアは何も応えず、尻尾だけを左右に動かし進んで行く。
近所の広い公園に入ると、小さな柵を飛び越え茂みの中へ。
見失わないように必死で追い掛ける。
ノアが止まったのは、高い木々に囲まれた小さな空間。
一番高い木を見つけ、軽快に登って行く。
その木で休んでいたのか、数十羽の小鳥がバサバサと音を立て飛び立った。
ノアはそれを意にも介さず、遥か上まで登って木の枝にチョコンと座った。
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