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「…できなくなったんだよ」
フッと微笑むと、
「どうして…」
健はか細い声で尋ねた。
「……」
「…だってお前、あんなに…。
あんなに…幸せそうに……」
健は言葉を詰まらせながらそう言うと、ハッと何かを思い出したかのように声を低くした。
「まさか、俺が最後の電話で言った言葉を…」
「違う。最後は俺の意思で別れた。
お前が言ったことは関係ない」
すぐに否定した。
健ならそう言うと思った。
優しい奴だし、記憶力もいいから自分が後押ししたと気に病んで欲しくなかった。
それに健のせいでは絶対にない。
健に話す前に、俺は別れるという決断を、
すでにしていたのだから。
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