642人が本棚に入れています
本棚に追加
嫉妬はもちろん、執着も、好きだという感情も全部、経験したことがなかったし、
恋人に自分から寄り添うとか、恋人と喧嘩するとか、そういうこともしたことがなかった。
長い付き合いができたのは、特に何も問題を起こすことなく付き合ってきたから。
俺が相手に気持ちを預けたことがなかったんだから、当然なことだと思う。
今思えば、偽物だった。
それくらい恋愛には無頓着で、どこか冷めている自分がいた。
だけど葉瑠と出会って、それは全部覆された。
葉瑠と付き合って、俺自身、自分の変化に驚いていた。
健たちの前でわざと葉瑠に抱きついて見せ付けたり、時間があれば葉瑠に何度も会いに行った。
好きだと数え切れないほど伝えたし、葉瑠だけにはとびっきり甘く、優しくした。
時間や場所も気にせず、いつでも直球な俺に彼女はいつも戸惑っていたけれど、それでも彼女なりに精一杯応えてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!