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健に会おうと決心したのは、健があまりにもあらゆる手を使って俺を捜索しているということもあったけれど、でも、ただ単純に、ここまで自分を見捨てないでくれた親友に会いたいと素直に思ったのが一番の理由だ。
勝手すぎて申し訳ないけれど、健は“ある事情”を知ってから、怒ることもなく、俺を責めることもなく、何も聞かず、電話で優しく迎えてくれた。
そんな健に俺は感謝しているし、改めて、こんな俺を許してくれた健の変わらない優しさに触れて、もう健から離れることはできないなと苦笑したことを思い出す。
そして今日、たった今、久しぶりに再会したというのに、感動に浸るとかそんなことよりまず、
こいつは悲しそうな顔を向けて俺をじっと見ている。
俺の外見は何も変わっていないし、普通に笑っているのに、”ちゃんと笑え”と、言葉を詰まらせるのだ。
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