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健に電話口で、“白河さんは元気?”と聞かれた時、初めて彼女と“別れた”ことを伝えた。
その時の健は、電話の向こうで呼吸が止まったんじゃないかと思うほど無言を極めていて、俺が言ったことを理解ができないほど取り乱していた。
ただ、俺は“別れた”ということだけ告げた。
健に聞かれたことだけ、伝えた。
健はそのことしか触れなかったし、別れた理由を聞くことはなかったから。
「今でも信じられねぇよ…。
だって怜斗、渡米する前、白河さんに……」
この話を振り返すのは避けたい。
でも、健のことだから、きっと触らずにはいられなかったのだろう。
俺はそれを覚悟の上で、健との再会を決めた。
「……プロポーズする予定だったのに…」
いくつか間を空けた後、健は苦しそうに声を震わせた。
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