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「何 いんの?」と陽輔が手首の天然石ブレスレットを撫でる。おれがあげたものだ。
「うん。でも幽霊のお客様は夜に御願いしてるから。今はいいよ。陽輔ちょっかい出して取り憑かれたら三万な」
「うへ たけえ」
「安い方。霊媒の仕事はお前が思ってる以上に大変なの」
そういって、無視を決め込むとその霊もふらりと消えてしまった。
「そうだ。陽輔ケーキ食べよ。在庫処分。手伝え」
そう言い、余ったケーキを並べると陽輔が眼を輝かせた。
「あの人夜来るかな」
陽輔が見えない客が居ると思い込み ひっそり話をする
「そうだね。来たらケンさんが起こしてくれるからいいよ」
そう言い、膝で休むケンさんを撫でると、小さく鳴いた。
商店街の一角は 今日もひっそりと時間が過ぎる。
其の片隅の小さな喫茶店
当店は 視えないお客様も歓迎です。
え?さっき話していた神様が誰かって?
あなたの想像にお任せいたします。
小さな喫茶店のマスター 朝祈 ゆうが
小さな黒猫のケンタロウさんを撫で 穏やかに笑った。
ようこそ “真夜中の”エーデルワイスへ。
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