真夜中のエーデルワイスで

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「何だ、居るなら返事しろって。お前本当にボーっとしてるんだからよぉ!」 ダンボールを抱えるのはおれの1つ歳上の幼なじみ。 うちの店にコーヒー豆と紅茶を卸してくれる焙煎業者の佐伯陽輔(さえき ようすけ)。 こっちも先代が引退して仕事を引き継ぎ、注文した豆や紅茶等はこいつが持って来てくれる。 「陽輔がせっかちなんだろう…っと」 もっと文句を言ってやろうと思ったのだが、豆の入る箱を受け取りよろけた。 「躓いて転ばない様にな!ゆうは鈍いから」 ははっと笑う陽輔の鼻をつねり、大きな箱をカウンターへ。 「おおおおケンシロウ!!!今日も可愛いぜ!!!」 大きな荷物にも動じる事無く、ケンさんはおれの肩に…しかし、陽輔がそう呼ぶと 「あでっ!!!!いててててて!!!」 陽輔の肩に乗り…ホアタ!!と言いたげな猫パンチが繰り返された。 「だからケンタロウさんだって言ってるじゃん。ねーケンさんー陽輔お兄ちゃんは馬鹿だねー」 『ニィー…』 緑色のリボンを巻いたケンさんはカウンターから肩に乗り、またおれの首を暖めてくれた。   ***
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