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困っているとどんどん顔が熱くなり、心臓はバクバクと音を立てる。
なにか返事をしないと大和に怪しまれないか、変に思われるんじゃないか、と思うとますます焦ってくる。
困りに困り、焦りに焦ったあげく、正直な言葉がぽろりっとこぼれ出た。
「だ、だからっ、ぼ、僕は、大和くんと、とっ、とっ、友達になりたいんだ」
言ってからぎゅっと目を閉じた。楓は嘘をつけないのだ。
直球だ。まっすぐだ。まっすぐ過ぎる。だが、そういう正直なところは美点だよ、楓君。と思ったかどうかは定かではないが、蘭丸がニャアと鳴いた。
うわははははは!と大和が笑った。
楓は驚いて顔を上げる。
「やっぱお前、おもしれーよ!」
「もうっ、なんでさ!」
「俺と友達になりたいなんて、ホントお前って初めてだらけ」
「や、大和くん!」
「俺さ、小学生の頃からつっぱってグレてて。でかいから目立つし、先公から目ぇつけられてるし、 親はケムたがるし。つるんでる奴らはいたけど、友達なんて一人もいなくてよ」
「そんなこと、ないのに……」
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