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中学に入学した時から大和はいつも楓の視界にいた。
それはもちろん大和が大きいから、それ以上に目立っていたからなのだが、クラスも違い 話をしたこともないのに、常に視野にいる大和はなんだか気になった。
急激に意識するようになったのは今年同じクラスになってから。
毎日顔を見て側にいると、大和は乱暴なように見えて実は優しいのだということに気付いた。
時々どうしようもなく荒れていることもあるけど、本当は寂しいのではないかと思った。
だから友達になりたいと思ったのだ。
実のところ『友達』とはちょっと違うのだけれど。
「俺さ、小学生の頃からお前のこと知ってんぜ」
蘭丸がひときわ大きな声でニャアと鳴いた。
「え? だって学校違うじゃん」
それだけじゃない。背の高い大和がチビの楓のことなど知っているはずがない。
「お前、苛められてたろ?」
「え、あ、う……」
「小突かれたり、叩かれたりとか」
「うん、まあそんなこともあったけど、みんなすぐやめてくれたよ」
うへへ、と大和が笑った。
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